もともとは飲料メーカー・キリンビールで働く、ごく普通のOLでした。
結婚と同時に仕事を辞め、専業主婦になったのですが、なかなか子どもに恵まれず、
あり余る時間をもてあましていました。
家でひとり夫の帰りを待つだけの生活も、慣れてくるとちょっと退屈で、
せっかくだからパートにでも出ようかと考えていました。
ところが、「無理にパートに出て働くよりも、好きなことや趣味を極めて、
将来それを教えて人から喜ばれるようになる方が、君に向いていると思うよ」
という夫の言葉に後押しされ、ならば自分のためになること、
将来の仕事につながるようなことをしようと、興味のむくまま、
ポタリーアートやフラワーアレンジなどさまざまなお稽古事をはじめました。
そうして、友人に誘われたのをきっかけに気学の教室に通うようになりました。
はじめは、さほど熱中するというわけでもなく、
たくさんあるお稽古事の一つにすぎなかったのですが、
他のお稽古の教室でみんなの運勢を見てあげるうちに、
よく当たるといわれるようになったんです。
すでにマイセラ西洋陶芸、ポタリーアートの講師をしていた
東武カルチュアセンターから依頼が舞い込み、
43歳の時、気学講師としてデビューすることになりました。
人生には“運命の流れ”というものがあって、人それぞれ、
頑張る時期、休む時期など異なった流れがある。
その流れを知り、うまくのれれば、無理せず幸せに生きることができる。
また、それぞれの生まれた日によって性格のパターンがあり、その性質を知り、
相手との相性など毎日のコミュニケーションに活かすことができる、
というのが、気学の強みであり、面白いところです。
気学を教えはじめたばかりの頃は、気学をテクニックとして、
かなり意識的に使っていました。
おかげさまで今では、3つのカルチャーセンターで教える他にも、
個人教室を開いたり、気学のほかに、インド占星術や、新月・満月の瞑想会、
自己プロデュースのためのワークショップや、自分の“使命”と出会う
「ヒューマンデザイン」など、どんどん世界が広がっています。
そんな私にとって、大きな転機となったのは、ある人に言われた
「中村さんって幸せな人ね」というささいな一言でした。
―「私って、本当に幸せなのかしら?」そんな疑問がむくむくとわき上がり、
ヒプノセラピー(前世療法)やヒーリング、自己内観など、
さまざまな手法で自分の内側を見つめる時期がしばらく続きました。
そんなある日、横浜へ横尾忠則さんの展覧会を見に行った時のことです。
私は、ある1枚の絵に釘づけになってしまいました。
その絵のコメント欄に『自分の信じる道を生きる』というメッセージが
書かれていたのです。思いっきり頭を殴られたような感じでした。
「私が探していたものは、これだ!」という確信のようなものがありました。
「本当に自分が信じる道を生きよう」そう心に決めた瞬間でもありました。
その後、一人息子の病気などさまざまな経緯を経て、
箱根神社に通うようになりました。
それから、ふっと浮かんでくるインスピレーションや、色々な情報をもとに、
全国各地の神社を参拝する“神社めぐり”の旅が始まり、
各地の神様に出会うことができました。
“神社めぐり”の旅を終えた翌年から、後継者を育てるための養成講座を始め、
今につながる流れができました。
「教室よりも鑑定に絞ればいいのに」と言われることもありますが、
私はやはり、「教える」ことを大事にしていきたいのです。
鑑定では、吉方位を調べたり、時期や相性を見てアドバイスをすることに終始します。
それでは鑑定士にずっと依存し続けることになります。
依存が進めば、やがては自分で自分のことを、
何一つ決められなくなってしまう恐れもあります。
決してあってはならないことですが、その人本来の人生の流れを、
鑑定士が書き換えてしまうことだって、不可能ではないのです。
けれども、方位の見方や、ことを起こすのにふさわしい時期、
相性などの見方を教えてあげれば、いつも鑑定士に頼らなくとも、生徒さん自身が、
自分の力で、自分の人生の行く先を見定めることができるようになります。
同じ時間を使うなら、私にとっても、生徒さんにとっても、
有効な時間の使い方をしたい。
たった一度きりの自分だけの人生、私が答えを出してあげるのではなく、
生徒さん自身で答えを見つけ出してほしい。
誰かに決めてもらうのではなく、自分で考えて自分で決める。
そのお手伝いこそが、私にとっての「教える」ということなのです。
それが、私にとっての『自分の信じる道を生きる』ということだと思っています。
人それぞれ、人生に必要な「メッセージ」は必ずやってくる、と私は信じています。
その、いつかやってくるであろう「メッセージ」を、
逃さずにしっかりキャッチしてほしい、というのが私のいちばんの願いです。
だから、生徒さんが「メッセージ」をキャッチするのを邪魔しないよう、
その人の成長を止めてしまわないよう、
自分はあくまでもサポートに徹するということは、常に意識しています。
ウチの生徒さんは、自分で自分の人生を切り拓き、使命に沿った生き方をしたい、
やってくる「メッセージ」を自分でしっかり受け止めたい、
という前向きな方が多く、教えている側もとても刺激を受けます。
生徒さんたちには、気学やその他の私がお伝えするさまざまなメソッドを用いて、
ぜひとも自分の力で幸せを掴んでもらいたいと思っています。
生徒さんたちと共に、学び合い、お互いに高め合っていけたら、
こんなに嬉しいことはありません。